私が小学生の頃、ペットとして飼っていたのは十姉妹です。昭和40年代の話です。今はもっとインコのような華やかなな小鳥がこのまれるのかもしれませんが、十姉妹は子育てが上手く、卵からヒナが孵って良く増えるので、知り合いから分けてもらうなどして飼っている友人がたくさんいました。今で言えば、ハムスターのようなものでしょうか。クラスメイトと小鳥飼育同好会をつくって、毎日、小鳥の飼育について話したのも良い思い出です。まだ小学生で、小鳥の飼い方のガイドブックに出てくる「交尾」という意味もよく分からないまま、交尾しやすい止まり木の位置や角度などを、本の記述にしたがって改良したり、肥満にならないように、エサのヒエやアワの配合を調整したり、それなりに悩んだり、考えたりしながら、飼育を続けていました。


こぼれたエサをもらいにくるスズメなどの小鳥も庭先に多く飛来するようになり、また、発芽するヒエやアワもあって、私の自宅の庭は小鳥のちょっとしたサンクチュアリになっていったのです。当然、それを狙うネコも出没します。ネコが小鳥の飼育カゴの編み目に、ツメをかけていることもしばしば。ネコの監視も私の日々の仕事となりました。それから40年以上経ち、今は大都会でのマンション暮らし。仕事も忙しく、なかなかペットも飼えません。そこで、ベランダに小鳥のエサを入れた皿を置いて「鳥寄せ」をやっています。車の往来委が多い幹線道路に面したマンションなので、やってくるのはスズメくらいですが、それでも毎朝、かわいらしい泣き声をきかせてくれるので、毎日せっせとエサやりをしています。自然や都市の変化で、街中のスズメはだいぶ減少しているようです。木立や屋根瓦の隙間など、スズメの巣作りに適した場所が減っていて、子育てもままならないのでしょう。


エサとなるような実をつける雑草が生い茂る野原も、都会ではほとんど見られなくなってしまいました。しかし、いくら都会の真ん中と言っても、朝、小鳥のさえずりが聞こえないのは寂しいと思います。ゴミをあさるカラスの鳴き声で起こされるよりは、小鳥たちのさわやかな鳴き声で目覚めたいものです。そして、カゴの中の小鳥を見るのも楽しいのですが、人目を忍んでやってくるスズメたちを、その裏をかいてこっそりウォッチするのも、楽しいものです。いつも1羽でやってきていたスズメが、ある日、ヒナを連れてやってきた時など、昔、十姉妹のヒナが孵ったときのような喜びを覚えました。家の中でペットを飼えない人も、このように都会という大きな鳥カゴのなかで、小鳥の飼育を楽しむことができるのです。